手縫いの基本中の基本、指ぬきを使った正しい針の持ち方です。並縫いではこのポジションを崩さずに縫い進めます。なぜならば、このスタイルが最小の力加減で最も効率的に縫えるからです。
ですが。ちょっと試しにやってみるとわかりますが、この持ち方で手縫いをするのは慣れないと大変難しいかと思います。
実際、かなり手慣れた方でも正しいポジションで運針(並縫い)が出来る人はそう多くはありません。
ミシンの発達した現代では手縫いだけで何かを制作すること自体がレアケースですので、正しく運針が出来る事自体はそれほど重要ではありません。ですがこの指ぬきと針の持ち方、そして運針については暇を見つけて練習することを強くおすすめします。
理由はふたつ。一つは指ぬきに慣れるのに最も適している点。指ぬきは運針以外にもボタン付け、まつり、かがり等の手作業の際に多用しますが、指ぬき自体に慣れていないと指ぬきで針のおしりを押してやるという事自体がうまく出来ません。もう一つは洋裁全体の技術があがるという点。針と糸、指ぬきのさばき方だけでなく、布さばきや微妙な手加減、生地による質感や特徴の違いなどを感じ取りやすくなります。そうこうして生地と会話できるようになると、おのずと制作スピードも早くなってきます。
最初はなかなか難しくても、何度も繰り返すと必ず上手になります。テレビを見ながら、お友達とおしゃべりをしながらでも時々練習してみて下さい。