序文
主にシャツの袖口や衿ぐりの前後の開きの始末に使用されます。きちんとした持ち出しと見返しの始末を簡略化するために用いられる場合が多く、パイピング始末をすることで細幅の持ち出しがついているように扱う事が出来ます。イッテコイ始末などと呼ばれています。
要はパイピング始末ですので、「基本のパイピング」の縫い方と同じようにバイアステープを裁断して縫い付けながらくるみ込んでも良し、あらかじめテープを出来上がりに四つ折りしておいたものを直に縫い付けても良し。どちらでもやりやすい方を選んでください。ここでは両方解説します。
ちょっと慣れれば四つ折りしたものを直に縫い付ける方法(始末その1)が一番早いです。ものの1分程度で縫えますが、強度を考えるとくるみ込みながら2段階でミシンをかける方が安心感があります。
スラッシュ開きの注意点は、スラッシュの頂点「折り返し地点」の縫い代が非常に少ないので、ミシンがはずれやすいという点です。ここが一番難しい所。
ここに留意しながら動画でのミシン捌きを見てみると良いでしょう。

スラッシュパイピング(イッテコイ)始末
材料・道具
つくりかた
◆始末その1(完成済みのバイアステープを使用する場合)
1.
スラッシュ位置にあらかじめ切込みを入れておく
上記画像のように切込みを入れます。白のラインはミシンが通る道。袖口のスタートとゴール位置は7mmの縫い代を確保できていますが、折り返し付近は1mm程度しかありません。切込みからほつれてくると縫い代が足りなくなってしまうので、手早く作業してしまいましょう。
動画では線を引かずに縫っていますが、不安な方はガイド代わりに消えるチャコで線を引いておくと良いでしょう。ただし、あまりガイド線にとらわれすぎると逆に難しくなります。多少ミシンがずれても気にしないくらいの気持ちで進めましょう。
2.
パイピング布を挟み込みミシンをかける
切込み位置がまっすぐになるように生地をひらき、パイピング布を挟み込んでミシンをかけます。
↑縫い始め
↑折り返し地点は慎重に。
↑折り返し部分には身頃生地の溜まりが出来ます。一番最初のガイド線を引くときに、折り返し部分の縫い代が多いと、この溜まりになっている生地まで一緒に縫いこんでしまって逆にミシンをかけるのが難しくなります。この折り返し部分は、生地の溜まりをよけながらゆっくりと少しずつ少しずつ縫い進めましょう。
3.
裏面からミシンをかける
パイピングにミシンをかけ終えたら、裏面から下図の位置にミシンをかけておきましょう。そうすることでパイピング部分が安定しやすくなります。
4.
裏面に印を付ける
こちらは裁断したバイアス布をくるみ込みながら縫い付けていく方法です。こちらの場合はあらかじめしっかりとミシンの通り道を書き込んでおきましょう。もちろん、慣れてくればこの作業は必要ありません。尚、画像では見えやすいように鉛筆を使用していますが、必ず消えるチャコなどを使用してください。
5.
バイアス布と中表に縫い合わせる
始末その1と同様、スラッシュ部分にハサミを入れてからバイアス布と中表に縫い合わせます。バイアス布が下側になるように据えると見やすいでしょう。
この状態で縫い進めると、バイアス布は7mmの一定幅でミシンがかかり、表布は折り返し付近に向けて縫い代が少なくなっていきます。
6.
折り返し付近はゆっくり
折り返し付近は生地の溜まりが出来てとても縫いにくいので、無理せずひと針ずつ慎重に。
7.
しつけをかける
最後まで縫い終えたら、パイピングをくるみながらしつけをかけます。
8.
コバステッチをかける
表からコバステッチをかけます。
9.
裏面からミシンをかける
パイピングにミシンをかけ終えたら、裏面から下図の位置にミシンをかけておきましょう。ここは始末その1とまったく同じです。
10.