袖の形状やデザインは無限にありますが、一般的な袖付けの方法という概念で考えるとセットインスリーブ、シャツスリーブ、ラグランスリーブの3種類に大別されると考えて差し支えないでしょう。
ここでは、型紙の形状が似ているセットインスリーブ(※1)とシャツスリーブ(※2)の違いについて知っておきましょう。

注釈※1:通常のアームホール位置に付けられた基本的な付け袖の事。「普通袖」とも言い、最も基本的な袖の形式。
注釈※2:男物のシャツなどに見られる、袖山が低く袖付けの縫い代を身頃側に倒したカフス付きの袖のことをいう。一般のセットインスリーブよりも運動量に優れる。
(文化出版局「ファッション辞典」より)

■セットインスリーブの型紙

まずはセットインスリーブの型紙の見方です。1枚袖のセットインスリーブで裏地がつかない場合、最もイメージしやすいのは肩幅が自身の肩幅とほぼ同寸のブラウスです。

シャツスリーブと大きく異なる特徴としては、セットインスリーブの袖の型紙には「イセ分量」というというものが含まれています。(必ず入っているものではありません)
イセというのは平面の布を立体的に形作るための技法(文化出版局「ファッション辞典」より)のことです。イセが入ることによって、より体に沿った立体的な仕上がりにすることが出来ます。

型紙の特徴としては、身頃の袖ぐりが原型により近くなり袖ぐり寸法はやや小さめに、袖山の高さは高くなり袖幅が狭くなる傾向にあります。
セットインスリーブは体に沿うように袖が付きますので、袖山にイセ分が入ることによって袖に丸みが出て腕を包み込むゆとり分が確保できます。

袖山が高く袖幅が狭いのに、イセの全く入っていないセットインスリーブは肩回りや腕の厚みのゆとり分が確保出来ていないため窮屈に感じるはずです。もしもご自身で製図をしている方は、そんなところも気にかけてみると良いでしょう。

また、このイセ分は必ずしもイセとして処理されるものではなく、ダーツや切り替え線、タックやギャザー等に含めてしまったりとデザインによって様々な処理方法があります。

袖ぐりの縫い代は袖側に片返しします。身頃の袖ぐりの縫い代にイセ込みで立体に形作られた袖がふんわりと乗っている状態が理想的です。

■シャツスリーブの型紙

シャツスリーブではセットイン特有のイセ記号が見られません。セットインスリーブでは身頃の袖ぐり寸法よりも袖山寸法の方が長く、差分をイセ込んで袖付けしますが、シャツスリーブの場合は袖ぐり寸法と袖山寸法が同寸または袖山寸法がわずかに短い場合が多いです。

型紙はセットインスリーブに比べると、肩先がドロップして袖ぐりは体から離れてゆったりとした曲線になります。その分、袖山の高さは低くなって袖幅は広くなります。全般的に袖ぐり寸法はセットインスリーブよりもシャツスリーブの方が大きくなる傾向にあります。
シャツスリーブにはイセ分が入りませんがその分、各所のゆとり分を多くすることで運動量を確保しています。

また、袖ぐりの縫い代は身頃側に片返しして、縫い代を指定のステッチで押えます。ステッチは必ず入れなければならないというものではありません。ステッチを入れる場合は、身頃袖ぐりの下側、カーブがきつくなっている部分に幅の広いステッチを入れてしまうと縫い代がつって表布まで響きます。ここはコバステッチ程度に留めておきましょう。2本目のステッチは縫い代が影響しない部分にだけステッチを入れましょう。

■セットインスリーブとシャツスリーブの縫い代の違い

セットインスリーブでは身頃の脇と袖の袖下をそれぞれ先に縫い合わせるので、縫い代は脇線を延長して直角の角度を測っています。

対してシャツスリーブでは身頃袖ぐりと袖山を先に縫い合わせるので、縫い代は袖ぐり線と袖山線を延長して直角の角度を測っています。

縫い代の付け方はこの図解の限りではありませんが、ここでは詳細は割愛します。シャツスリーブとセットインスリーブでは組み立てる工程が異なるため、おのずと縫い代の付け方も異なっていると理解していただければ良いかと思います。

【まとめ】

セットインスリーブとシャツスリーブは型紙の形がよく似ているのですが、ずいぶんと特徴が異なりますね。この特徴の違いから、袖付け方法も大きく手順が異なります。それぞれの袖付け方法については

シャツスリーブ(裏無し・1枚袖)の袖付け方法

セットインスリーブ(裏無し・1枚袖)の袖付け方法ー前編ー

セットインスリーブ(裏無し・1枚袖)の袖付け方法ー後編ー

にまとめましたのでそちらもご覧になってみて下さい。