縫いずれはミシンの構造上、避けては通れない部分です。まずはミシンの構造を理解しましょう。

下図を見てください。ミシンの押え金と針板の構造を簡易的に表してみました。

 

家庭用ミシンも工業用ミシンも基本構造は同じです。(一部工業用ミシンを除く)押え金をおろすことによって上側と下側の生地がしっかりと噛み合った状態になり、更に送り歯が前後に動くことで生地を2枚同時に送りながら縫い合わせていくという構造になっています。

この構造だと、押え金から発生する力は下に向かっているのに対して、送り歯から発生する力は横(縫う人に対しして手前から向こう側)に向かっています。それぞれ力の働く方向が異なるとどうなるかというと、ミシンの場合は下側の生地は送り歯に追従しようとしますが上側の生地はその場に留まろうとします。押え金が上側の生地の動きを阻害しているとも取れます。

 

その結果、上側の生地は奥に進みたくても押え金に引っかかるような感じで上手く進むことが出来ません。それに対して下側の生地は送り歯と噛み合っているのでどんどん進んでいこうとするので、縫う距離が長くなると下側の生地が先走って縫い縮んでしまう(裏側がいせられる)ような状態に縫い上がります。そうすると上側の生地が余るといった現象が起きます。

押え金の圧力や縫い手の生地の引っ張り具合によっては上側の生地が延び加減になる場合もあります。

 

これが縫いずれの原因です。生地の裁断ミスやイセや伸ばしを入れる箇所でもない限り、下側の生地が余るという事はありません。

これはミシンの構造上、避けられません。工業用ミシンには縫いずれ防止用の上下送りミシンというものが存在します。これは上押さえも前後に移動しながら本縫いするミシンです。

 

通常のミシンの場合はこの縫いずれを防ぐためにいろいろな工夫を施します。以下にいくつか例をあげますので、どうしても縫いずれが直らないという方はひとつずつ試してみて下さい。

  1.まずは押え金の圧力を弱くしてみます。家庭用ミシンの一部には圧力を変えられない機種もあるかもしれませんが、多くのミシンに装備されていると思いますので取扱説明書をよくご確認ください。

2.摩擦抵抗の低い押え金に変えてみる。テフロン加工を施してある押え金は家庭用・工業用の両タイプがあります。工業用の場合はテフロンリング押さえを試してみて下さい。

3.糸調子は弱めに設定し、あまり急いで縫わない。テクニックが伴ってくればスピードを上げても縫えるようになりますので、まずは確実に縫えるスピードを心がけましょう

4.紙ヤスリやインサイドベルトを押え金の間にかませて縫う。紙ヤスリもインサイドベルトも、摩擦抵抗の大きなものを間に挟み込んで上側の生地に噛ませ、生地を送りやすくするという点では目的は同じです。手に入りやすいものを使うと良いでしょう。

実際の使い方は動画をご覧ください。

 

以上、布送りの構造による縫いずれとその対処法を記しましたが、これは次の項目の「技術不足によるもの」とも密接に関係してきますので、このまま次の項目も読み進めることをおすすめします。

それから補足として1点ほど。紙ヤスリやインサイドベルトは実際の縫製工場などでも使用されていて、慣れるととても楽に縫えるのですがちょっとした弊害もあります。これにあまりにも頼りすぎると、指先の感覚が養われずに道具がないと縫えなくなってしまいます。 もちろんどんどん活用していただいて良いのですが、もしも将来的に縫うことをお仕事にしたいという方や全体的にもう1ランク縫うことのクオリティを底上げしたいと思っている方はぜひ次の項目の手法も併せて練習してみてください。 指先の感覚を養うことは地道な練習なので遠回りなように感じますが、数年後に確実に結果として表れます。 まだ縫うことに慣れていない方でどうしても上手に縫えないという場合、お使いのミシンによってはアタッチメントが有効な場合もありますのでご紹介します。  

メーカー名  アタッチメント名  参照リンク

 

ジャノメ   送りジョーズ   https://www5.janome.co.jp/lecture/technique/09.html

ブラザー   ウオーキングフット http://www.brother.co.jp/product/hsm/accessory/quilt/index.aspx

JUKI   上送り押さえ  https://www.juki.co.jp/household_ja/products/accessories/semipro.html

 

いずれもキルティングやビニールコーティング生地、ベルベット等の起毛素材などにも使用できるようです。購入される方は必ずご自身がお使いのミシンに対応しているかどうか確認をしてください。