洋裁で最も多く要せられるお悩みの一つが「ミシンが綺麗にかけられない」という内容です。ワンピースやスカートの脇線などの長い距離を縫い合わせる時にミシンに任せて縫っていくと、縫い目に細かいしわが表れていたりしたことはありませんか?または同寸の生地だったはずなのに縫い終えてみたら上側の生地だけ余っていたり。これは原因が一つではなく、複合的に絡んでいる場合があったりしてなかなか厄介です。ここでは原因と対処法を一つ一つ探っていきます。

  1. シーム・パッカリングとは


    上記のような症状があらわれることを、縫製業界では「シーム・パッカリング」もしくは単に「パッカリング」などと呼びます。辞書によれば、シーム・パッカリングとは「縫い目のつれや縫い縮み現象のこと」と定義されています。(文化出版局:ファッション辞典参照)

    出典によっては更に縫いずれまで加えてパッカリングと定義している場合もあり、各縫製現場でも少しだけとらえ方の範囲が異なる場合があるようですが、ここでは縫いつれ・縫い縮み・縫いずれまで含めてシーム・パッカリングと定義して進めていこうと思います。

    簡単に言うと、ミシンで縫い合わせた時に縫い目に起こる縫製の不具合という風に捉えてよいかと思います。これらの現象はシルクやジョーゼット、オーガンジー、サテン、ボイルやガーゼなどの薄手で繊細な生地に頻繁に発生しますが、要因によってはどのような生地でも発生します。  

  2. シーム・パッカリングが起こる5つの要因


    1.糸の張りが強い。もしくは生地の強度が弱い(ガーゼなど)

    2.生地に対して針が太い・もしくは針の先端が摩耗して丸くなっている

    3.生地が針の上下運動に合わせて引っ張られ、動いてしまう(サテンなどの織り密度の高い生地でよくみられる)

    4.ミシンの布送り構造による縫いずれ

    5.縫い手の技術不足による縫いずれ

    他にも要因は考えられると思いますが、大まかにこのような要因があげられると思います。
    1~5のうちのどれかではなく、多くの場合は2つ以上の要因が絡んでいる場合が多いです。
    工業用ミシンや職業用ミシンの場合は一つ一つの原因に特化した対処法がありますが、家庭用ミシンをお使いの場合ですと調整が難しい項目もあります。

    家庭用ミシンと工業用(職業用)ミシンそれぞれのケースでの対処法をまとめて記しましたので、一つずつ順番に試してみると良いでしょう。
    4と5についてはミシンの種類を問わずどなたにも当てはまる項目ですので、そちらも併せてご覧になってみて下さい。

    洋裁というのはご自宅で誰にも聞けず、一人で解決しなくてはならない場面というのが多々発生します。そんな時に自力で解決するためには不調の原因を知ることが大切です。そのために考え得るだけの原因と対処法を列挙しました。
    特にここに上げたような縫製の不調というのはこれさえやれば万事解決!というような特効薬がありません。様々なアイテムを縫う毎に、違う素材に触れる毎にまたこのページに戻って来てください。
    再度読み返した時にはまた一つ理解が深くなっていることと思います。

    少しずつ、一つずつクリアしていきましょう。