ここでは実際の地直しの方法について解説します。少し時間のかかる作業ですので、作りたい洋服が決まったらあらかじめ地直し作業をしておくと良いでしょう。

一般的な綿・麻素材の水通し

1,布帛生地の場合はまず生地の直角の目安を作っておきましょう。これをやっておかないと、後の干す工程の時に形を整える目安が分かりにくくなります。 下図のように生地の耳に少し切込みを入れて、そこから横糸を1本引き出します。そのまま抜けるようなら引き出した糸をそのまま抜き取ってしまいましょう。そうすると抜いた横糸の跡が残るのでその跡に沿って曲がらないようにハサミでカットします。 途中で糸が切れてしまった場合は糸が切れたところまで布をカットして、そこからまた横糸を1本引き抜いて同じようにカットします。

糸を抜くのが難しい場合や生地が薄い場合などはうまくいかないこともあります。その際は最初に少しカットしたところから生地を引き裂いてしまいます。生地を裂く場合は怖がらずに一気に引き裂くのがポイントです。ただし、生地を裂いたところは地の目は歪みやすくなりますので、この後のアイロンの工程でしっかりとアイロンで歪みを直してください。

2,生地を水に浸けます(たらいでも浴槽でも洗濯機でもOK)。時間は3、4時間~半日程度。生地が長い場合は扱いにくくなるので、だいたいの必要な着分でカットすると楽です。

3,十分に水分がいきわたったら洗濯機で脱水します。綿生地だったら通常のお洗濯時と同様に脱水して構いません。麻生地の場合は強いシワが出来ると取れにくくなってしまうので、出来るだけ脱水時間は短い方が良いかと思います。水がポタポタ落ちない程度でOKです。 ニットの場合も、しっかりとした厚手生地なら麻生地と同様に。ヨレヨレになりそうなものは畳んだ状態のままバスタオルでくるんで手で絞りましょう。雑巾のようにひねりを加えて絞らずにレモンを絞るときのように水分を絞り出してください。水がポタポタ落ちない程度でOKです。

4,陰干しで乾かします。布帛生地の場合はシーツのように物干しざおにかけて干してOKです。ニットの場合は濡れて重くなると伸びやすくなるので出来るだけ伸ばさないように気をつけながら2~3本の物干しざおに渡して干しましょう。一か所に重みがかかると余計に伸びやすくなります。裁断前の生地は大きいので水分を含んだ分だけ重くなります。広げる場所がある場合は広げて干しましょう。 布帛の場合でもニットの場合でも生地を干すときは出来るだけ形を整えながら作業します。

上図中のB線が生地本来の形で、四隅が直角に整った状態です。Aの破線は生地が歪んでいる状態です。たいていの生地は大なり小なり歪んでいるものですのでその時は右図中の★印の位置をしっかり持ち、強く引っ張って歪みを修正します。 ふたつの★印の位置は特に決まっている訳ではありませんが「バイアス地」方向に引っ張ります。地の目の項目にも出てきましたが、45度のバイアス方向が生地が一番良く動く角度です。

何度かやってみてどうしても戻らないときはそのまま干しても構いません。次の工程でもまた同じように歪みを修正しますし、どんなに頑張ってもゆがみが直らないものも中にはあります。また、ニットもあまりひっぱると伸びてしまいますので状態を見て無理ならそのまま干しましょう。

麻生地の場合は特に全体のしわを良く伸ばして半乾き状態で次の作業に入ります。綿生地だったら9割~完全に乾いてから次の作業に入ります。

水通し出来ない生地の場合

ウールやウールニットなど、水通し出来ない生地の場合は、前述と同様に糸抜きと生地のカットをしてから生地の全体にまんべんなくたっぷりと霧吹きで水を含ませて大きめにざっくりとたたみます。あまり小さくたたまずにゴミ袋のような大きい袋に入れて一晩寝かせます。 翌日に地のし作業をしますが、アイロンでは飛ばせないくらいの水分がまだ残っているようでしたら少し干してから次の作業に入りましょう。完全に乾いてしまうとかえって次の工程がやりにくくなるので生乾きくらいで取り込んでください。

(注)おしゃれ着用の変わり織りや特殊加工してある生地は水やアイロンで大きく風合いが変わる場合があるので必ず目立たない場所でテストしてから作業しましょう。

お洗濯のついでに水通しする

綿や麻生地を扱う場合は水に付けた後に洗濯機にポイッと放り込んで普通にお洗濯してしまって、そして場合によってはそのまま乾燥機にかけてしまっても構いません。 これが一番お手軽な方法じゃないでしょうか。縮むようならそのまま縮ませてしまえばいいというスタンスです。洋服が完成した後にお洗濯で乾燥機を使う方でしたら初めから乾燥機を使った方が後でガッカリすることもありませんね。 もちろん、生地の風合いが大きく変わってしまう場合もありますし、大きく縮むこともありますので、そこは自己責任で行ってください。 乾燥機を使用する場合は、天日干しよりも縮む率が大きくなります。また、乾燥機を使用するたびに少しづつ縮んでいくので、そこはよく考えて使用してください。

乾燥機を使用する場合も、麻生地は半乾きで取り出した方が後でアイロンをかける工程が楽になります。

アイロンで地の目を整える

水通しが完了したら今度はアイロンで地のし作業に入ります。 水通しの工程にて干す時に歪みを取りましたが、ここでもまた同様に生地を引っ張って歪みを修正しながらしっかりとアイロンをかけて水分を飛ばし、形状を定着させていきます。本来ならば生地を広げてアイロンがけをする方が良いのですが、そうすると大きなアイロンマットが必要になってしまうので、生地を縦半分に中表に畳んで作業しましょう。

【まとめ】

少々面倒な作業ではありますが、せっかく時間をかけて作った洋服を長く美しい状態で保つためには不可欠な作業です。 生地の歪みが大きいとこの作業に手間取りますので、出来るだけ歪みの少ないものを選びたいところです。特に理由もなく破格で売られているような生地は地直しに手こずる割合が高くなるので、特にビギナーの方にはしっかりとした品質の日本製の生地をおすすめします。型崩れもしにくく、長く愛用出来るので結果的にお得ですよ!